インサイドセールスの業務フローは?役割や導入の方法・手順を解説
- プロテア 株式会社
- 4月30日
- 読了時間: 7分
「インサイドセールスの体制を整えたいが、具体的なフローが曖昧で成果が伸びない」「闇雲に架電しているうちにリードが枯渇し、商談につながらない」
そんな課題に直面していませんか?
インサイドセールスの業務フローは、リード受け取り・評価・育成・商談化・受注後フォローを一本の線でつなぎ、マーケティング投資を実売上へ変換する生命線です。
今回の記事では、実務でつまずきやすいポイントを補う具体策として、スコアリング設計の考え方・トークスクリプトの雛形・KPIダッシュボード例まで盛り込みました。読み終える頃には、自社の課題をピンポイントで解消し、最短距離で成果を出すためのアクションプランが描けるはずです。
インサイドセールスフローとは?全体像と役割

インサイドセールスのフローは「リードを商談・受注へと滑らかに引き上げる筋道」です。マーケティング起点で獲得した見込み顧客(MQL)を受け取り、検討度合いを高め、適切なタイミングでフィールドセールスへ渡すことで営業生産性を最大化します。
フィールドセールスとの違い
フィールドセールスは訪問またはオンライン商談で提案し、契約をクロージングする部隊です。インサイドセールスはその前段階で「顧客の温度感を上げ、商談化を量産する起点」を担います。役割分担が曖昧だと商談が取りこぼされるため、両者のゴールとKPIを明確に切り分けることが欠かせません。
THE MODEL型におけるポジション
営業プロセスを分業するTHE MODEL型では、SDR(反響対応)とBDR(開拓主体)の2系統で見込み顧客を創出し、案件化の瞬間にフィールドへ引き渡します。これにより「誰がどの指標を追うか」が可視化され、組織全体で数字を伸ばす動きが取りやすくなります。
インサイドセールスの基本業務フロー6ステップ

インサイドセールスの各工程で、何を判断軸にすべきかを下記の6ステップに沿って確認しましょう。
STEP1 リードの受け取り・整理
マーケティングから共有されたリードを重複排除し、属性タグ(企業規模・業種など)と行動タグ(資料DL・ウェビナー参加など)を付与します。タグ付けは「将来の分析で使える最小単位」に統一すると、後の改善スピードが格段に上がります。
マーケティング部門との情報連携ポイント
リード発生源を「広告/SEOコンテンツ/ウェビナー」などに細分化し、SFAとMAで同じ値を持たせて連携します。API連携が難しい場合は、毎日自動CSVを吐き出し、バッチで取り込む運用でも構いません。重要なのは「どこで生まれたリードが最終的に売上に直結したのか」を追える状態にすることです。
STEP2 リードクオリフィケーション(MQL→SQL)
属性スコアと行動スコアを掛け合わせ、SQL(商談適格)と判断できる閾値を設けます。目安としては、
属性スコア: 会社規模+役職+業種(例:大企業=5点、中小=3点)
行動スコア: 資料DL=10点、セミナー参加=15点、サービスページ3回閲覧=20点
上記のように配点を設定し、合計30点以上をSQLと定義するイメージです。
スコアは蓄積データを基に四半期ごとに閾値を見直し、外部環境の変動に合わせて柔軟にチューニングします。
STEP3 ナーチャリングと商談化シナリオ
検討度が低いリードには、以下の順にコミュニケーションを重ねて温度感を高めます。
教育フェーズ…成功事例や業界トレンド記事で関心喚起
比較・検討フェーズ…サービスデモ動画やROI計算シートを配信
決定フェーズ…導入事例ウェビナーで決裁者の疑問を一掃
フェーズ移行の判断は開封率・クリック率・ウェビナー後アンケートなど複数指標で行い、属人的な“感覚”に頼らないことで再現性を担保します。
STEP4 商談アポイントの設定
ヒアリングでは「課題・導入時期・決裁プロセス」の3軸を必ず確認し、課題と解決策が紐づいた段階でアポを提案します。Calendlyなどの自動日程調整ツールを活用すると、双方のスケジュール調整が数分で完了し、熱が冷める前に商談を確定できます。
STEP5 商談引き継ぎとフィールドセールス連携
CRMに「商談背景・キーパーソン・競合状況・顧客の期待値」を標準項目として登録し、フィールドセールスへバトンタッチします。また、SLAに「引き継ぎから2営業日以内に初回接触する」「初回提案資料は7営業日以内に送付する」といった時限アクションを設定すると、対応遅れによる失注を防げます。
STEP6 受注後フォロー・データ更新
受注後はオンボーディング担当と連携し、利用率が低い顧客をエンゲージメントキャンペーンに自動追加します。アップセル候補の検知には、利用ログや問い合わせ内容を活用し、月1回の営業会議でインサイド→カスタマーサクセス→フィールドの順に共有すると、顧客のライフタイムバリューを最大化できます。
導入を成功させる5つの手順
ゼロから部門を立ち上げる際は、以下5手順を順守すると「先に仕組みを固めてから走る」ことができます。
1. 目標KPIとターゲットセグメントの明確化
例として「半年でSQL100件、商談化率30%」のように具体値を置き、組織全体で共有します。ターゲットは売上に直結しやすい業種や決裁権者のタイトルを絞ることで、限られたリソースを集中投下できます。
2. 組織体制と役割分担(SDR/BDR)
担当領域を区切るだけでなく、評価指標も変えるとモチベーションが維持しやすくなります。例えばSDRは「SQL数」を、BDRは「新規開拓商談数」を主指標とし、歩留まり改善の責任範囲を明確にします。
3. ツール・データ基盤の整備
MA・SFA・CTIを段階導入する場合、まずはSFAから始め、最低限「会社マスタ・リード・商談」の3テーブルだけに絞って運用を開始すると混乱が少なく済みます。その後、MAを連携してメール配信・スコアリング自動化へ拡張します。
4. シナリオ設計とトークスクリプト作成
ペルソナごとに課題仮説を用意し、初回架電〜フォローアップの分岐シナリオをフローチャート化します。スクリプトには「顧客名+類似事例+価値訴求+日程提示」の4要素を盛り込み、会話が長引きそうな場合は「次回アクション」を必ず決めて通話を終えます。
5. 運用開始とフィードバックループ
週次でKPIダッシュボードをチェックし、架電数・接続率・商談化率の推移から改善点を抽出します。例えば「接続率が下がった週は、架電時間帯を午後から午前に戻す」といった小さな仮説検証を回し、数値改善を加速させましょう。
業務を最適化する3つのポイント

導入後は「数値×仕組み×教育」の3視点で最適化すると、成果を早期に最大化できます。
KPIトラッキングとダッシュボード活用
KPIは日次で集計し、チーム全員が閲覧できるダッシュボードに掲示します。ボトルネックが「接続率」なのか「SQL判定」なのかを可視化することで、改善策が具体的になります。
部門横断の情報共有とSLAの策定
月次レビューでは「成約まで最も寄与した流入経路」「スコア閾値の妥当性」「引き継ぎ所要時間」を確認し、SLAをアップデートします。
これによりフロー全体が常に最適化され、部門連携の摩擦が減ります。
ナレッジ共有とセールスイネーブルメント
成功通話や失注理由をRecordingで共有し、月1回のロールプレイ研修で再現性を高めます。さらに、新人オンボーディング用のマイクロラーニング動画を5分単位で作成すれば、OJTの負荷を抑えながら習熟度を底上げできます。
インサイドセールスのよくある課題
最後にインサイドセールスが軌道に乗るまでに直面しがちな課題と解決策を整理します。
商談化率が伸びない
課題は「SQL判定が甘い」「ヒアリング項目が浅い」のどちらかに集約されることが多いです。
前者はスコアリング基準を見直し、後者はヒアリング用チェックリストを作成して会話の深掘りを標準化しましょう。
リード対応漏れ・重複が発生する
タイムスタンプとステータス変更履歴を全員が確認できるビューを作成し、「24時間以内に未対応リードがあればSlackで自動通知」といったリマインドを実装すると漏れを防げます。
情報共有が分断される
CRMのコメント欄だけでなく、定例会の議事録もNotionやConfluenceで時系列管理すると「何を決めて、いつ反映したか」が社内に残ります。SLAに「更新期限」を設定し、未更新の場合はアラートを上げる運用が有効です。
まとめ
インサイドセールスのフローを可視化し、スコアリング・シナリオ・SLAの3点を磨き込むことで、リードの取りこぼしがなくなり、商談化率・受注率ともに向上します。
自社フェーズに合わせて6ステップの業務を改善し、KPIダッシュボードで成果を検証し続けることが、営業組織全体の生産性を底上げする鍵となります。